相続税の納税義務範囲等の見直し

国内・国外とも課税の国内住所は10年以内、広大地評価方法も見直しへ

 

(1)国内住所の基幹を10年以内

 国外財産が課税対象となる要件を次のように強化することにより、租税回避が抑制されます。

 具体的には、①国内に住所がなく日本国籍をもつ相続人の相続税については、被相続人及び相続人が相続開始前5年以内のいずれの時も国内に住所がない場合に国内財産のみとなる要件の期間が、10年以内に伸びる。

 また、②国内に住所がなく日本国籍をもたない相続人が、国内に住所がなく相続開始前10年以内(改正前は5年以内)に国内に住所があった被相続人から相続により取得した国外財産を相続の課税対象に加えるというものです。贈与税も同様の改正が実施される。

 

(2)高度外国人材の適用除外

 被相続人や相続人が出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって一時的滞在している場合には、相続又は遺贈に係る相続税について、国内財産のみが課税(国外財産は課税の対象外)されます。一時滞在とは、国内の住所期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在を指します。贈与税も同様の改正が実施される。

適用関係

 平成29年4月1日以後に相続等又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。

 

(3)広大地評価方法の見直し

 面積が1,000㎡(三大都市圏は500㎡)以上の広大地の相続税評価について、面積に応じて比例的に減額する方法から、各土地の個性に応じて形状・面積により評価する方法に改められます。

【改正前】路線価×面積×広大地補正率

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【改正後】路線価×面積×補正率×規模格差補正率

適用関係

 平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価から適用。