これがないと残業手当として認められません

「当社の給与は年俸制なので、残業の支払いはありません」

「営業手当が残業代としてカウントしています」

今でもこのような意見を多々耳にすることがありますが、上記の内容だと残業手当に関する考え方が間違っている可能性が高いです。

年俸制でも残業手当の支払いが免除されているということはありませんし、営業手当が残業代として支払われている場合は、いくつかの要件を揃えないと残業代として支払ったことにならないのです。

また、「定額の残業代を支払っている」「固定残業制度を採用している」という会社も多いでしょうが、定額支給の残業手当も要件をクリアしないと法的に残業手当とは認めてくれないのです。

就業規則や賃金規定に「定額支給の残業手当」を記載しても実際の細かな運用で否認されることがあるのです。

では、定額の残業手当(固定残業手当)を支払っている会社はどのような対応を行えばよいのでしょうか?

定額の残業手当(固残業手当)の支給が認められる要件として、次の3つは必須項目となっています。

〇 一定時間の残業手当を算入される旨が雇用契約上で明確である

〇 支給時に支給対象の時間数と残業手当の額が労働者に明示されること

〇 残業手当に対応する残業時間を超えて残業が行われる場合は別途上乗せして残業手当を支給する旨があらかじめ明らかにされていなければならない

この項目を雇用契約上明記し、また就業規則(賃金規定)で定めて、忠実に運用しない限り、定額の残業手当(固定残業手当)は法的に認められないのです。

定額の残業手当(固定残業手当)の制度を採用する会社の実情として、定額の残業手当(固定残業手当)に対する時間を超えた残業に対する適正な時間外手当の支払いがなされていないケースが多いです。