<事例34>新設法人の調整対象固定資産の取得

 個人事業者甲は、乙社(資本金1,000万円)を平成2791日に設立しました。

 この法人成りに伴い、乙社は甲の事業用資産である機械を216万円(うち消費税等16万円)で受け入れ、甲に対し現金で支払いました。

 乙社の第1(平成2791日~平成28331)及び第2(平成2841日~平成29331)は原則課税で申告しますが、第3(平成2941日~平成30331)から簡易課税を選択しようと考えています。

 

[回答]

乙社は第1期に調整対象固定資産の課税仕入れを行い、かる原則課税により確定申告をしますので、第4(平成30831日に属する課税期間)まで原則課税により確定申告をしなければなりません。

 

[解説]

・新設法人の特例

 その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金が1,000万円以上である法人(「新設法人」といいます。)については、納税義務が免除されず、課税事業者となります。

 

・平成22年度改正の趣旨

 新設法人が調整対象固定資産を取得した場合に、一定期間原則課税を強制することにより、「課税売上割合が著しく変動した場合の調整」の判定を受けます。

 

・新設法人が調整対象固定資産の課税仕入れを行った場合

 新設法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に、調整対象固定資産の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日に属する課税期間の消費税の確定申告を原則課税で行う場合には、次の取扱いがあります。

 

① 調整対象固定資産の課税仕入れを行った課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、免税事業者となることはできません。

② 調整対象固定資産の課税仕入れを行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出はできません。

 

 

1期に調整対象固定資産を取得した場合で、乙社が「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出しないときは、平成31331日まで原則課税が強制されます。